2020年 4月のメッセージ 担当:櫻井 由史

4月のメッセージをお伝えします。カウンセラーの櫻井由史です。

 

今回のメッセージは、今の世の中の状況を踏まえつつ、前向きな気持ち(次につながる気持ち)で作成しました。

先の見通しが立たない現状の中では、様々な情報で溢れています。不安な気持ちになるのは当たり前の反応です。でも、情報に振り回されてしまっては疲れてしまいます。

焦らずに、適切な情報を選択していくためのワンクッションが、心のゆとりにも繋がると思います。

今、様々な場所から、いろいろな方法で、エールが送られています。一人一人が“自分にできることを”という想いで動いており、それぞれの形があるようです。

どんな情報を得るのかは自分の意志によって選択できるものです(自分の力でコントロール可能なものです)。

嘘のない、気持ちに満ちたものに触れていけたらいいですね。

そして、今、どんなメッセージを送るのが良いのかと悩みもしましたが、どんな時でも“変わらない”という安心感も大切だと思い、内容的にはいつもと変わらない感じのメッセージをお送りすることにしました。

ただ、これまでのメッセージと比較すると、文字数が大幅に増えています。

お時間のある時に、どうぞ( ˘ω˘ )。

 

ここからはいつもの櫻井モードです。

軽やかな空気感になっていきますので、心の準備をよろしくお願いします。

 

さて、今年も桜の季節がやってきました。

毎年、このタイミングでは気持ちをリフレッシュして、新しい心持ちでスタートできるようにしています。

 

今回は、使っている手帳を新しくしただけでなく、ペンケースも変えてみました。

新しいものとの出会いやこれからの時間を共にするという、ちょっとわくわくする感覚がとても好きです。

 

そして、おそらく気づかれてはいないのではなかろうか…と思うのですが、

実は、ホームページのスタッフ紹介の<ひとこと>もひっそりと変えています。

 

この<ひとこと>って項目、個人的にはめちゃくちゃ重要だと思うんです。

これからの出会いのきっかけになるかもしれないですし、

今現在の関係性にも影響したりするかもしれないですからね。

 

ですので、“今の自分をできるだけ表現できる<ひとこと>を”という気持ちで掲載しました。

 

これまでの自分と変わることはありませんが、また新鮮な気持ちで進んでいきたいと思います。

 

 

さて、ここまでのお話と重なるところもあるように思うのですが、これからカウンセリングについての興味深い研究をご紹介したいと思います。

(堅苦しいことはあまり好きではない僕ですが、ちゃんと専門性もあることが伝わればいいな:笑)

 

僕たちカウンセラーは、カウンセリングの良さやメリットを理解している(信じている)ので、

“必要としている人にちゃんと届けばいいな、届けたいな”と思っています。

 

しかしながら、カウンセリングを受ける側の方は、“カウンセリングっていったいどういうものなんだろう?”というように、よくわからないことも多いのではないかと思います。特に、はじめての方は、先のイメージがないまま扉を開くような感覚かもしれません。

 

また、勇気を出して、扉を開いて、カウンセリングというものを体験してみたものの、“まだよくわからないなぁ”とか“意味あるのかなぁ”という感想が浮かんでくることもあると思います。

 

そういう場合に僕が思うのは、“無理に続けることは違うと思うけど、何回かは続けてみてもらえるとうれしいなぁ”という感じです。

 

カウンセリングは時間やお金のかかることですので、カウンセラーとしては、“1秒でも早く良くなれば”という気持ちは持ちつつも、“カウンセリングの効果(?)を実感するまでの時間は、人それぞれだったりもするんだよなぁ”とも思ったり。

 

カウンセリングって、即効性がある場合もありますが、

じわじわと、じんわりと、というパターンが多いと思います。

そのじんわ~りという感じは、僕はやさしさのように感じています。

カウンセリングはどこかやさしさが含まれているものだと思います。

 

ちょっと話の方向が変わってしまいましたね。

もとに戻しますと、カウンセリングについての興味深い研究のご紹介でした。

 

1992年、ランバート(Lambert)さんが心理療法(カウンセリング)のどのような側面が、どの程度、治療的な効果に影響しているのかをまとめたものになります。

 

この研究によりますと、以下の4つの側面が関係しているようです。

 

 

治療外の要因(40%)

 

治療関係(30%)

 

特定の理論や特定の介入技法(15%)

 

プラシーボ・期待(15%)

 

 

それぞれについて触れていきたいと思います。

 

まず、①の治療外の要因というのは、カウンセリングを受けた方がもともと持っている回復する力、悩みや抱えている問題の程度、周囲のサポートなど、直接的にはカウンセリングそのものとは関係のないものになります。“偶然の出来事をきっかけによくなった”なんていうものも含まれます。

それが40%を占めていて、割合的にはトップです。カウンセラーとしては“おぉ…(´・ω・`)”という感じでしょうか。

 

続いて、②の治療関係です。これはカウンセラーとカウンセリングを受けている方との関係性の影響です。要するに、良好な関係性がカウンセリングの治療効果に繋がるというわけです。関係性の中で味わう温かさ、安心感、信頼、理解してもらえているという感覚。あたりまえですが非常に重要ですよね。カウンセラーとの相性も含まれるでしょう。

 

カウンセラーは、この治療関係をものすごく大切にしているのではないでしょうか。

ここが構築できていないのであれば、それはカウンセリングとは呼べないような気もしますが、実はこういう関係性を構築することを目指していくこともカウンセリングの中には含まれます。 信頼できる、安心できるような関係性は、一朝一夕で築けるものではありません。

このあたりは、“カウンセリングの効果を感じられるまでには時間がかかるかもしれません”というニュアンスで上述した内容と関連します。

 

そして、③の特定の理論や特定の介入技法です。これはカウンセラーがカウンセリングの中で取り入れている方法(手法)のことを指します。いわゆる、認知行動療法とか催眠療法、自律訓練法とかそういうものです。その影響は15%なのです。意外と少なく感じますよね。

理論や技法は大切ですが、それだけでカウンセリングが効果的に機能するわけではないのです。

 

最後に、④のプラシーボ・期待です。これはカウンセリングを受けている人が抱く、“カウンセリングを受けることで良くなるだろう”という期待や希望のことです。適度な期待や希望は、治療効果に良い影響を与えます。逆に過度な期待やカウンセリングに対するマイナスな印象がカウンセリングの効果を薄めてしまうこともあります。

 

4つの側面に関して、それぞれ説明しましたが、皆さんの印象はいかがでしたか?

 

 

僕がこの研究をはじめて知ったのは、カウンセラーを目指して研鑽していた大学院生の頃です。

その時の印象としては、

なるほど、関係性ってすごく大切なんだなぁ。理論や技法を扱えるようになるのは何年先かわからないけど、関係性の30%に全力を注ぐことで、相手の方のためになることもできるってことだよなぁ

というもので、カウンセリングに対する期待が高まりました(これはプラシーボ!?)。

 

現在、その頃から10年が経ちます。

30%の関係性に全力を注ぐことはあたりまえ、15%の理論や技法を扱うことができてこそ、心の専門家

そのように思っています。

 

そして、カウンセリングを受けている方が、残りの55%を十分に発揮できるように関わるということもカウンセラーの役割だと思っています。

 

関係性の中で、関わっている方の中で何かが起こり、

どうなりたいかを思い描いて回復していく過程に寄り添う、

このお仕事には、やはり、やさしさが含まれていると思います。

 

やさしさといっても、包み込むやさしさ、相手のためを想って本音を伝えるやさしさなど、いろいろな形がありますけどね。

 

カウンセリングは奥が深いです。

 

 

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櫻井由史